多発性嚢胞腎・尿と病気

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多発性嚢胞腎


多発性嚢胞腎/尿と病気


     
§1  多発性嚢胞腎とは/多発性嚢胞腎/尿と病気


      
多発性嚢胞腎は腎臓の中に袋状の嚢胞が出来る病気です。嚢胞は両側性に出来、腎臓のみならず、肝臓、

      脾臓、膵臓などにも発生します。嚢胞は球状のふくろの事をいい、原因は先天性のものと後天的なものがあ

      り、一般的には遺伝性の多発性嚢胞腎を指します。








     
§2  多発性嚢胞腎の症状/多発性嚢胞腎/尿と病気


       多発性嚢胞腎では、 嚢胞が腎臓や近傍臓器(特に肝臓)にもできますが、この嚢胞中には液体が詰まってい

       るために、 この嚢胞により腎臓が圧迫を受け、腎機能が低下してきます。
血尿(腎盂内の嚢胞破裂による場合

       が多く、突然発症し、
肉眼的血尿、顕微鏡的血尿が持続します。) や脇腹の痛み、蛋白尿、腰痛、高血圧(腎

       機能障害が出現する以前にも、50〜70%に認められます。 主に尿細管機能障害と嚢胞の増大により、腎臓

       の虚血を招き レニン-アンジオテンシン系亢進から 循環血液量の増加を招く事がその一因と考えられておりま

       す。)、 腹部のシコリなどが出る事で気付く事が多い。 進行しますと
尿毒症に至ります。診断後10年ほどで尿

       毒症になる(加齢と共に嚢胞は、左右の腎臓に増加し、 進行性に腎機能は低下します→まず尿濃縮力障害が

       発現する。 多飲、
多尿、夜間尿の症状がみられ、腎機能は進行性に低下する。進行の程度は嚢胞の大きさに

       関係ありません。 →約半数の患者さんは70歳くらいまでに腎不全に陥るとされます。)、遺伝性の高い疾患で、

       遺伝のタイプにより、 乳児型(生後1年以内で腎不全に至り、死亡する事もあります。)と成人型(嚢胞が小さい

       内は症状が出ませんが、20〜40歳代位で発症します。場合により、70歳くらいまで無症状の場合も有ります。

       )に分けられます。多発性嚢胞腎に罹患した患者さんには、脳動脈瘤(破裂しますと、くも膜下出血、脳出血)も

       出来安い事が知られておりますので、そちらも注意する必要があります。家系内に脳動脈瘤の患者さんがいる

       場合には、注意が必要です。


       尿路系の合併症として、 膀胱からの上行性の感染による腎盂腎炎、 腎周囲膿瘍、嚢胞内感染などが起きま

       す。 尿路系の嚢胞感染症は 女性の方が多く確認されます。 また、尿路結石では尿酸、シュウ酸カルシウム

       結石なども多く確認されます。 肝嚢胞は妊娠により増大する事は多々みられます。巨大な嚢胞肝により腹部

       膨満感が増強する事があります。 その他、肝嚢胞感染、 肝静脈流出路閉塞、門脈閉塞などが合併症として

       あります。その他臓器にも嚢胞が認められる事があります。





     
§3  多発性嚢胞腎の治療/多発性嚢胞腎/尿と病気


       根本的な治療法は有りません。従いまして、腎機能保持のため、薬物療法として対症療法(血尿に止血薬、

       高血圧に降圧薬、感染症には抗生物質・抗菌薬など)が基本になります。 薬物療法と併行して食事療法な

       ども腎機能の低下を抑えるために行い、腎不全に移行するのを抑制する様にします。 尿毒症に至ってしま

       った場合には透析療法や腎移植も考慮される様になります。 嚢胞腎は尿濃縮力の低下、脱水になり易い、

       尿の鬱滞による尿路感染、尿路結石を起こし易いため、水分の摂取では、尿量が1L/日以上確保出来る様

       にする事が必要です。



       
嚢胞・尿路感染症起炎菌に対応するセファロスポリン系、ペニシリン、アミノグリコシド系抗生物質が投与され

       ます。日々の注意するべき点では、脱水予防、頻回排尿、.部の清潔、セ ス後の排尿などに気配りします。


       
嚢胞出血;大量出血の場合には選択的腎動脈塞栓術の選択も有りますが、それ程でも無い場合には、運動

       制限とベッド上で安静を保つ事により止血される場合が多いとされます。激しい運動や腹部を圧迫するような

       運動、仕事などは避ける事で、予防にも繋がります。


       
嚢胞部の疼痛;出血や感染、 嚢胞の増大に伴ない、 疼痛が出現します。 安静を保つと共に、痛みを抑制す

       るために、鎮痛薬も選択されます。 嚢胞の増大に伴ない出現する疼痛では、嚢胞穿刺と嚢胞への硬化薬の

       注入、や、止血困難な嚢胞、 嚢胞感染の繰り返し、顕著な巨大嚢胞腎などでは腎摘出術の必要なケースも

       あります。


       
その他;肝嚢胞感染(抗生物質投与、経皮的排膿などの対応)、脳動脈瘤(予防的クリッピングなど)









     
* 遺伝子異常;罹患する家系の85%は 16番染色体のPKD1遺伝子に遺伝子異常をもち、15%の家系では4

     番染色体に PKD2遺伝子異常を持つとされます。 遺伝性の多発性嚢胞腎の患者さんは、このどちらかの遺伝

     子を両親から受け継ぎ、 尿細管上皮細胞で体細胞変異が起き、PKD遺伝子がその機能を喪失し、嚢胞は形成

     する事で、腎障害を起こします。(腎実質が減少する)










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